アメリカのワイオミング州で米初のDAOの法人格が認められる。DAOの最新動向を初心者にもわかりやすく解説。

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2021年7月4日にアメリカ、ワイオミング州にて、アメリカで初となるDAO(Decentralized Autonomous Organization)が法人として認められる、という発表がありました。このニュースについて、そしてDAOの最新動向について初心者の方にもわかりやすく解説します。

 

アメリカ初のDAO法人

7月4日、アメリカのワイオミング州にて、アメリカで初めてDAOの法人格が承認されたとの発表がありました。(参照:The American CryptoFed DAO is legally recognized by the State of Wyoming as the First Decentralized Autonomous Organization (DAO) in the United States

法人格が認められたのは「American CryptoFed DAO」というDAOプロジェクト。ワイオミング州では、4月にDAOの法人格を認める法案が可決されており、今回American CryptoFed DAOがその法案によりDAO法人の第一号となりました。American CryptoFed DAOが承認されたのは「有限責任会社」(limited liability companies:LLC)という法人格で、日本で言う「合同会社」のような存在です。出資者が自分が出資した範囲のみで責任を負うことや、株式が発行できない、などの特徴がある法人格です。

DAOは特定の管理者が不在のため、従来組織のように管理する人と管理される人がいません。それにより、公平性や透明性がある組織運営を行えるメリットがあります。ただ、DAOがトラブルを起こしてしまった際などの責任の所在が曖昧になってしまうなど、DAO特有の課題もあります。今回の法人格取得により、DAOについてより一層定義が固まり、今後のDAOに影響が出る可能性があります。

 

今回法人格を取得したDAOの概要

DAO
出典:https://www.americancryptofed.org/

今回、ワイオミング州で法人の承認を受けたDAO「American CryptoFed DAO」は、ステーブルコインを発行しています。ステーブルコインとは、法定通貨に価格を固定した仮想通貨のことで、ビットコインなどのように法定通貨に対して価格が変動せず、法定通貨と同様に利用できるのが特徴の仮想通貨です。

American CryptoFed DAOは「Ducat」と「Locke」という仮想通貨(トークン)を発行しており、「Ducat」はドルに価格固定されたステーブルコイン、「Locke」はガバナンストークンと呼ばれるもので、American CryptoFed DAOの仕様などルール変更をしたりする際の投票権のように使用されます。

実際、American CryptoFed DAOの内部統治体制は外からでは分からない部分も多いですが、American CryptoFed DAOはDAOとして運営されているため、経営者がいて従業員がいる、というような縦割りの統治体制は取られていないと思われます。

 

DAOの法人格は必要か?

DAOは「分散型自律組織」と日本語では訳され、特定の管理者なしで、不特定多数の参加者によって運営される組織のことを言います。そんなDAOに法人格が与えられることは賛否両論があります。DAOと法人格は相入れない部分も多いためです。

法人格が与えられるということは、責任範囲が定められるということでもあります。責任範囲が有限であれ無限であれ、責任をもつ人物(組織)が定められた場合には、その責任者の権限が一定程度付与されたことを社会的に宣言するようなものと考えることができます。

責任者がいるDAOであれば、社会規範に則り、不法行為などに手を染めるDAOが少なくなることや、トラブルの際の対話相手を特定できるというメリットがある反面、その責任者に責任が及ぶ可能性のあるDAOプロダクトの開発、イノベーションは起こりづらくなる可能性があります。

例えば今回のステーブルコインのプロジェクトを行うDAOは世の中にすでに多数存在します。ステーブルコインに規制がかけられたとして、責任者のいるDAOはそれに従わなければ責任者は罰せられる可能性がありますが、責任者のいないDAOでは規制に従うことなく稼働し続けても、責任の所在がわかりません。また、規制対象になるのか分からない斬新なDAOプロジェクトを行いたい場合、責任者がいるDAOは責任の所在が曖昧なDAOよりも挑戦しづらくなる可能性もあります。そうなるとDAOのメリットである自律性や持続性という点では、メリットを発揮しづらくなります。

このように考えると、法人格を求めた場合のDAOは安心感が得られる一方で挑戦的なことをしにくい、完全なDAO(責任の所在が分からないDAO)はより挑戦的なことができる代わりにトラブルはユーザーの自己責任になる、といった住み分けが行われていく可能性があります。そうなると従来の会社形態、DAO、中間的なDAO(DAO法人)、という組織形態が共存する社会が到来する可能性があります。それぞれ、メリットデメリットがあり、提供サービスや顧客層に合った組織形態を選択する、という選択の幅の広がりを見せるかもしれません。

後は、法人格を持っているDAO(またはDAO的な存在)が完全なるDAOに変化する際に、どのような国際ルールや規制が設定されるのかが不明瞭なことも、DAOの課題の一つと言えるでしょう。どちらにせよ、DAOが生まれたことによって、法人格が承認されるという社会影響が既に出てきたことは、Web3.0などの到来に一歩ずつ進んでいると言えるでしょう。

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