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ブロックチェーンで実現するWeb3の世界。その必要な要素とされている「インターオペラビリティ」について、初心者にもわかりやすく解説します。ポルカドットやCosmosといった仮想通貨がインターオペラビリティを実現するとされており、注目度が高まっています。
インターオペラビリティとは
インターオペラビリティはブロックチェーンに限らず、IT分野などで使用される言葉で、複数の異なるシステムを接続した際にうまく全体が機能することを言います。日本語では「相互運用性」と訳されるのが一般的です。
ブロックチェーン分野では、近年インターオペラビリティが話題に上がることが多く、ブロックチェーンのインターオペラビリティを実現するプロジェクトの開発が行われています。ブロックチェーンのインターオペラビリティが実現すると、新たな世界が切り開くと言われています。
異なるブロックチェーン同士が接続し、全体が機能すれば全体の利便性が上がるのでは、と言われているのです。
現在のブロックチェーン
現在、ブロックチェーンはそれぞれが独自に開発され、独自のルールで稼働しています。例えば、ビットコインとイーサリアムは別々のブロックチェーンで稼働しており、イーサリアムの送金手数料をビットコインで支払ったり、イーサリアム専用のウォレットへビットコインを送金する、などはできません。
ブロックチェーン技術を使ったプロジェクトは多岐にわたっており、ビットコインやイーサリアムなどの誰でも検閲できる「パブリックプロックチェーン」と呼ばれるものだけでも非常に数が多いのですが、企業が独自に開発する「プライベートブロックチェーン」と呼ばれる、特定の人物や組織しか検閲できないブロックチェーンも数に入れると、無数に存在しています。
このように世界中に存在するブロックチェーンをつなぎ、機能させるのがインターオペラビリティと呼ばれる技術です。
インターオペラビリティが実現することによって、ビットコインとイーサリアムのブロックチェーン同士が接続され、両者のコインが行き来できるようになることで先にも述べたように一方の手数料をもう一方の仮想通貨で支払う、などが可能になります。さらにプライベートブロックチェーン内でビットコインを使用したり、反対にイーサリアム上のアプリケーション内でプライベートブロックチェーンで発行された通貨を使用したりなど、仮想通貨の利用範囲が広がるとされています。
なお、「互換性」という言葉もインターオペラビリティと似ていますが、少し意味が異なります。互換性は「置き換えても問題なく稼働する」といった意味です。ブロックチェーンの例で言えば、イーサリアム上で作成したDapps(アプリケーション)を、BSC(バイナンススマートチェーン:イーサリアムとは異なるブロックチェーン)でも同じように作成できる、などが互換性(代替可能性)になります。
インターオペラビリティを実現するプロジェクト例
ブロックチェーンのインターオペラビリティを実現することを目指すプロジェクトは、いくつか存在します。例を以下で紹介します。
Polkadot(ポルカドット)
ポルカドットは、ブロックチェーン技術を基盤とした仮想通貨やサービスをつなぎ、「Web3」と呼ばれる新たなWeb世界の実現を目指すプロジェクトです。
ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンをつなぐ、インターオペラビリティの実現に注力しています。
ポルカドットはイーサリアムを共同で創設した、ギャビン・ウッド(Gavin Wood)氏らによって2016年に考案されました。稼働は2020年5月から開始されています。
ポルカドットは、異なるブロックチェーンを繋いだり、処理スピードの問題を解決したりして、ブロックチェーン基盤のサービスの利便性を向上し、開発も行いやすくするエコシステムです。
例えばビットコインは「決済システム」というように、ユーザーにとってわかりやすい利用目的がありますが、ポルカドット自体には私たちエンドユーザーの明確な利用目的は特にありません。
ブロックチェーンシステムの開発者のためのハブ(中継地点や接続部分)として存在しているため、あくまでポルカドットはそれらブロックチェーンシステムをつなぎ、問題を解決するとともに、ブロックチェーンシステムを次の段階へ進める、という役割を担っています。ポルカドットに繋がれたイーサリアムの上のアプリケーションの利便性が上がるなどすることで、ポルカドットは間接的にエンドユーザーへ価値を提供します。
また、ポルカドットはブロックチェーンをより開発しやすいキット「substrate(サブストレート)」を提供しており、そのツールで開発したブロックチェーンはポルカドットに接続できることなどから、今後のブロックチェーン開発を容易にする、という目的の実現も目指されています。
〜ポルカドットについて詳しくはこちら〜
ポルカドット(DOT)とは?初心者にわかりやすく、今後・将来性・歴史・仕組みを解説した入門ページ
COSMOS(コスモス)
COSMOS(コスモス)も先述のポルカドットと同様に、インターオペラビリティ、つまり異なるブロックチェーン同士を接続して相互で運用可能にするために開発されているプロジェクトです。2016年にホワイトペーパー(仮想通貨の計画書)が発表され、2019年からメインネットで稼働が開始しました。
COSMOSでは、「Hub」や「Zone」と呼ばれるシステム(下図参照)を構築しながら異なるブロックチェーンをつなぎ、そしてビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンでしばしば起きる処理速度の遅延や手数料高騰の問題を解決することを目指しています。
COSMOSでも「Cosmos SDK」と呼ばれるブロックチェーンの開発キットを提供しており、容易にブロックチェーンを開発できるような環境作りを目指しています。
COSMOSは、「バイナンス(Binance)」という世界規模で展開される仮想通貨取引所の展開するDEX(分散型取引所)にて技術採用が行われるなどで話題を集めています。ポルカドットとよく比較されますが、ポルカドットとCOSMOSは接続可能なことが証明されており、共存していく可能性も秘めています。
以上、インターオペラビリティのわかりやすい解説と、インターオペラビリティを目指すブロックチェーンプロジェクトの例を紹介しました。今後の仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーン業界ではインターオペラビリティは話題の中心になっていく可能性が高く、インターオペラビリティの意味を知っておくといいでしょう。
ただ、インターオペラビリティが実現した後の世界では、異なるブロックチェーン同士が繋がれるため、ブロックチェーンの共存が可能なのか、それとも2.3のブロックチェーン以外は淘汰されていってしまうのか、明暗が分かれていく可能性もあり、今後の業界動向には注目していた方がいいでしょう。
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