「スマートコントラクト」という言葉は仮想通貨を形成するシステムの中で重要な役割を担っております。この語句がどのような意味で使われているのか技術的なお話抜きで理解していただければと思います。
スマートコントラクトとは
スマートコントラクトとは直訳すると
「賢い(スマート)契約(コントラクト)」
です。
スマートコントラクトについての定義は曖昧なものですので議論が分かれますが、仮想通貨においてスマートコントラクトがどのような意味を持っているのか概要を掴んでいただければと思います。
「賢い契約」と訳されるスマートコントラクトは「普通の契約」との違いを明らかにする事によって理解する事ができます。
「普通の契約」
私達が利用している契約について解説をします。
例えばAさんがBさんから1万円で財布を買いたい、Bさんは1万円で財布を売りたい、とします。
これを契約という形で見ると
「AさんがBさんに1万円渡す時BさんがAさんに財布を渡す」
となります。
Aさんは1万円渡した時に財布が手元に来なければ、Bさんが財布を渡す時に1万円を受け取っていなければ困ります。ですので「契約書」を作成して、両者が債務を履行するように強制力を持たせます。
契約書を作成する場合
・Aさんが1万円Bさんに渡す
・Bさんが財布をAさんに渡す
という項目が書かれます。
この契約書が悪用されない、複製されない、改ざんされない為に「署名」「押印」「保証人」の対策を取ります。問題があれば第三者機関(調停)が入る事もありますし、あらかじめ契約書を正当なものにする為に公証役場という第三者機関を入れる事で両者の債務履行を確実なものにします。
このようにして
第三者機関を入れて契約書を作成する
のが今までの「普通の契約」の形です。
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「賢い契約」
ではそれに対して「スマートコントラスト=賢い契約」とはどのようなものなのでしょうか?
先ほどの例と同様にAさんがBさんから1万円で財布を買いたい、Bさんは財布を1万円で売りたいとします。
それの契約書をブロックチェーンに書き込んでしまう、というのが仮想通貨における「スマートコントラクト」の概要です。
「BさんがAさんに財布を渡すと同時に1万円BさんにAさんは送金する」という情報がネットワーク上に書き込まれます。
例えばビットコインやイーサリアムのブロックチェーンは改ざんを防止する機能がありますのでその契約を改ざんする事ができません。ブロックチェーンは書き込んだ時刻を記録できるのでそれが複製ではない事を証明してくれます。
更にビットコインでも分かるようにブロックチェーンでは決済ができるので「1万円がBさんに渡った」という事をそのブロックチェーンは証明します。となれば財布の所有権がAさんに移った事が証明されます。
従来のような第三者機関が介入せずともブロックチェーンの記録だけで契約書・債務履行までを勝手に行ってくれる。これが仮想通貨で言われるスマートコントラクト、「賢い契約」です。
スマートコントラクトは自動執行ロボット
つまりスマートコントラクトとは「自動契約執行ロボット」と言えます。
ブロックチェーンに契約書を書き込み、日時を指定しておけばその日時までに決められた金額が払われなければ売り物の所有権を移転させませんし、支払ったのにも関わらず所有権が移転されなければ自動的にお金が返却されます。
売買契約やギャンブルの契約に向いています。
売買やギャンブルではお金の移動が契約通りに行かない場合のリスクがつきものです。その為に契約書や仲介者が入る事により契約履行を両者で信じる事ができます。
スマートコントラクトがブロックチェーンで利用できるのであればこのような第三者や契約書は不要になります。
しかし、いくらスマートコントラクトがあっても全ての契約でこの応用がきくわけではありません。
なぜなら契約をブロックチェーンに記録する時はお互い了承していたはずなのに後になって片方が「そんな契約したくなかった。強引にさせられた。」と言い出す可能性もあるからです。
この課題に対し、仮想通貨の技術では答えを出せません。結局は法廷等の第三者が必要になります。
スマートコントラクトは夢のような技術ですが、全てを叶える魔法ではなく適する場所にのみ有効な技術なのです。
まとめ
実際、今回説明したスマートコントラクトはそのほんの一部を紹介したものに過ぎません。日々技術が進歩しており、様々な問題解決の糸口を作ります。
スマートコントラクトの応用がきくのは現在「イーサリアム」という通貨ですがビットコインでも簡単なスマートコントラクトを行う事はできます。仮想通貨が注目されるのにはこのような興味深い技術的側面があります。是非様々な事に興味を持っていただければと思います。
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