南海バブルと仮想通貨の相違点 <仮想通貨はバブルか?>

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南海バブルとは18世紀のイギリスで起きた周辺諸国を巻き込んだ一大投機バブルです。仮想通貨がバブルと言われる中、南海バブルがどのようなもので仮想通貨とどのような相違点があったのかを知る事で仮想通貨がバブルなのか、どのような違いがあるのかを考察する参考になります。初心者の方にも分かりやすく解説をしていきます。

 

 

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南海バブルとは

南海会社の設立

南海バブル(南海泡沫事件とも言います)は18世紀イギリスで巻き起こった投機ブームの事を指します。

 

南海バブルは1711年にイギリスで設立された「南海会社」によって口火が切られる事になります。それまでに既にヨーロッパでは株式市場が発展しており、いくつもの金融革命と言うべき熱狂が起きていました。17世紀に起きた初のバブルとも言われるチューリップバブルもその内の一つでした。(参考:ビットコインはチューリップバブルか <相違点から見る仮想通貨>

 

前提として1700年前後、ヨーロッパ諸国は世界各地に植民地を作っていました。中でもフランスは1700年頃には周辺諸国よりも強大な力を持っていて周辺諸国はフランスに追いつけ追い越せの政策をとっています。イギリスはフランスの同盟国の立場にありましたがフランスから見れば「弱小イギリス」というようなイメージがありイギリスは必死に国力を増強させようと試みています。植民地との貿易や金融政策などで軍事力を高めていこうとしていました。

 

そんな中でイギリスに設立された南海会社は政府の債務(借金)を自社株式に転換する事を決めます。自社株への転換とは政府の〇〇額(ポンド)の国債を自社の株式へと換える事で、簡単に言えば政府の借金を肩代わりする事を意味します。

 

その代わりに南海会社は政府から毎年の利息受け取りや貿易の独占権などを得る事になります。

 

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しかし、実際の南海会社による事業はあまり儲からず南海会社事業としての経営は上手くいってませんでした。

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財テクによる利益の創出

一方フランスではジョン・ローという人物が金融界で名を覇していきます。ジョン・ローは「ミシシッピー会社」という会社や銀行を持っていて、その勢いはフランスにとどまらずイギリスまでも制圧してしまうのではないかというほどでした。

 

ジョン・ローはそれまで硬貨(金貨や銀貨)が通貨の主流だった世界で紙幣に価値を持たせる事に成功し、フランス国債(借金)を全て肩代わりしていました。ローは金貨を集めて銀行券(紙幣)を発行し、そしてその発行した紙幣を株式購入に融資する手法を取りました。

 

株式が買いたい人が多くなれば株価が上昇⇒株を買う為の紙幣の需要が上昇(価格が上昇)という循環でみるみるバブルが膨らみ、他国からの購入者も増えフランスは熱狂していきました。(余談ですがこのころ「百万長者(ミリオネア)」という言葉が生まれたと言われています。)

 

これを見ていた南海会社は同じような手法で富の増幅を図ります。(主旨理解のみの為簡単に説明します。)

 

イギリスの国債を大きく肩代わりします。それに基づき政府から利息を受け取ります。そして元の国債保有者に対し国債と南海会社株の交換(転換)を提案します。

南海会社株の価格が上昇するとすれば国債保有者は財政の厳しい国が発行する国債よりも魅力的な南海会社株を手に入れたいと考えます。そうなれば需要が高まる⇒価格上昇⇒需要の高まり、という循環が生まれます。

 

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このように計画をしましたが、これには「南海会社株が上昇する」という期待をする事「国債よりも南海会社株を持っている方が得をする」という事を皆が認識しなければなりません。(ここで利用されている当時の国債には保有していれば一定の支払いが受けられました。)

 

様々な思惑のあった南海会社株と国債の転換ですが、結果的に南海会社株の上昇により好循環が生まれどこまでも南海会社株の価格は上昇する事になります。

しかし、ここでポイントとなるのは「株価上昇によって全ての人の利益が創出されている」という事です。これは南海会社を支配していたジョン・ブラントも理解しており「あらゆる手段を使って株価を上昇させる事が会社の利益を増やす唯一の方法(引用:バブルの歴史」という原則を知っていたとされています。

 

株価を上昇させる為に4回に渡る新株発行を行っており、それは市場を混乱させる為のものであったとも言われます。これにより本来的価格の算定もよく分からなくなっていきました。ミシシッピー会社を真似て自社株を担保に株主に融資する等も行いました。

 

新会社乱立からバブル崩壊

この成功を受け、このころのイギリスでは多くの会社が乱立する事になります。「南海会社などの株を売買する企業」「オーストラリア大陸に行くロンドン冒険家企業」「新鮮な魚をロンドンに運ぶ企業」など多くの会社が設立されます。これらは実態があるのかないのか分からないまま新聞の広告で会社が宣伝され株式購入を受け付けました。

 

この時に新設された会社の大部分は詐欺が多く、ほとんどの会社は後に倒産しています。このような実態のない会社を泡沫(ほうまつ)会社と言うので南海バブルは南海泡沫事件と呼ばれます。

 

しかし、このような泡沫会社の為にバブルが崩壊していく事になります。泡沫会社を規制する為の法案で市場は混乱します。国民の投資熱狂が冷めていくのと混乱など泡沫会社の株価が下がっていきます。すると泡沫会社に投資をする為の借金をしていた人たちなどが泡沫会社下落の損失補てんの為に南海会社株を売る、という悪循環が訪れます。このような事や外国からの投資家の避難などが起こり南海バブルは崩壊を迎えました。

 

仮想通貨との相違点

上記では南海バブルについて簡単に説明をさせていただきました。このような歴史的バブルを仮想通貨と比較してみると仮想通貨についての考察が深まります。

 

仮想通貨と似ている点

・本質的価格の喪失

仮想通貨の価格上昇と南海バブルによって発生した価格上昇は「本質的価格の喪失」という点で酷似しています。南海バブルでは会社事業の行く末を考察する事で本質的価格は算出され、仮想通貨ではその通貨の利用価値によって本質的価格は算出する事ができるようになります。

 

もちろん本質的価格を算出するのはどのような商品であれ容易な事ではありませんが、多くの投資では「利回り(いくら投資していくら返ってくるか)」によりリスクとリターンを求めて投資を行いますが、南海会社株も仮想通貨もそのような計算はなく、「期待」と「上昇する事で皆が儲かる」という「不透明な利回り」によって価格が形成されています。

 

本来であれば南海会社株は南海会社の事業損益や行う事業内容によって、仮想通貨はその利便性や導入実績(予測)によって価格が形成されていくのが正しいものですがそれはどちらにも見られません。とにかく価格を上昇させる事が皆の利益になる、という状態になれば価格は上昇の一途をたどります。そしていつか何かのきっかけで熱狂が冷める時、本来の価格まで下落していく事になるのです。これは南海会社株がバブルの後に本来的価格まで下がっていった事(完全な無価値にはならなかった)や他のバブルの終焉を見ても証明されています。

 

・泡沫通貨の乱立

南海バブルで多くの会社が乱立したように仮想通貨でも多くの通貨が乱立しています。

その実態があるかどうかは分からなかった泡沫会社と同様に開発実態があるか分からないいわば「泡沫通貨」が乱立しています。

南海バブルを仮想通貨に置き換えるのであれば南海会社はビットコインで泡沫会社はアルトコインです。また、2017年末に多く見られるビットコインから分岐(ハードフォーク)する事で誕生している仮想通貨も泡沫通貨と言える事ができます。

南海バブルで泡沫会社の全てが倒産する事が無かったようにアルトコインも中には開発を愚直に行っているものもあるので全てが泡沫とは言いません。ただし、多くは泡沫会社と同じ末路を辿るでしょう。

 

そして泡沫会社株の下落が南海会社株下落を招いた一因になったようにアルトコインの下落がビットコインの下落を招く可能性は大いにあります。ビットコインが価格上昇する事で他の通貨でも同様の事を狙う投機が行われているとしたらそれは危険なサインです。損失補てんの為にビットコインを売却するという流れが生じても何らおかしくはありません。

ただ、先にも述べたように泡沫会社・泡沫通貨の全てが無になる訳ではありません。南海バブルで泡沫会社が試みた「オーストラリア大陸開発」は後に行われるようになりますし、その志が無意味だとも一概には言えません。

 

仮想通貨と異なる点

・単なる紙幣(株券)ではない

仮想通貨と南海バブルの異なる点はまず、仮想通貨は株式と違い誰か発行する紙幣ではない、という事です。仮想通貨の中には発行主体が存在するものもあるのでここでは発行主体の無い仮想通貨の事を指します。

 

仮想通貨は株式などとは違い無限に発行できるものではありません。数が決められているので南海バブルやその他の歴史上行われてきた意図的に作り出す上昇の循環というものは生まれません。南海会社では株式を担保に融資を行いました。するとその融資で得たお金で南海会社株を購入する事ができます。そして南海会社株が上昇するという循環が生じてしまいます。これは信用によって生まれた価値がさらに信用を生むバブルの典型です。

 

仮想通貨ではその通貨を管理する主体が無いのでこのような信用の循環は生まれません。信用(価格がゼロから生じる源泉)は仮想通貨に備わっているテクノロジーとルールによって構成されています。 現在では需要が増えるだろうという期待(信用とも言える)が価格上昇の大部分を占めていると考えますがゼロが1になる為にはテクノロジーとルールを人々が信用するところから始まっています。

 

信用供与によって仮想通貨が価格を形成してきた訳ではなく、そのものに信用をして価格が形成されているので南海会社株とは異なり無意味なものになるかどうかは南海会社という一つの主体に依存している訳ではなく、そのもののシステムに依存している事になります。

 

・実態となるシステムの操作ができない

上記で述べたように仮想通貨は管理主体がいないのでシステムそのものを操作する事ができません。

南海会社が行った国債との転換で保有者を増やす事や、発行数増加などは仮想通貨ではルールそのものを変更する事に当たります。これでは元々仮想通貨のテクノロジー・ルール信用によって形成されている価格が失われる事は必須です。

 

もちろんビットコインなどの仮想通貨でもルールを変更する事は可能ですがその為には多くのステークホルダーの賛同が必要になります。「必要」というのは「絶対」という意味ではなく、賛同が無ければ価格(利用価値も含めて)を維持できないという事があります。

 

これはビットコインの2017年11月のSegwit分裂騒動でも証明されています。現実的にはルール変更の行えるビットコインでルール変更を主張するグループが現れましたが賛同を得られずその計画は頓挫しています。この点において南海バブルとはかなり異なります。2017年11月分裂騒動でビットコインが証明したものについての詳細はこちらビットコイン11月分裂騒動中止 Segwit2xハードフォークは収束 ビットコインの証明したものもご参考にしていただければと思います。

 

まとめ

南海バブルと仮想通貨には以上のような相違点があります。これらの事を踏まえて仮想通貨がバブルなのかどうかを是非考えていただければと思います。

私の個人的な意見では仮想通貨の価格は現在バブルを引き起こしていると考えます。南海バブルのように価格上昇が全ての人の利益を生んでいる事で参入者が増えていますが、実際に仮想通貨は実用段階にありません。ですのでいつかはこの循環が止まり、価格が下がります。

しかし、仮想通貨ではテクノロジーによる進歩があります。今実装されていない技術が実装されて実用化が進めばこの価格を上回るほどの利用価値、本来的価格が形成される可能性を秘めた革新テクノロジーではあります。そこに期待している私もいます。

 

このように金融歴史を知る事で是非仮想通貨についても考察を深めていっていただければと思います。今まで地球上に存在しなかった仮想通貨の未来は現在仮想通貨に興味を持っている全ての人が決めていくと思います。

 

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