ニューヨーク合意(NYA)とは何だったのか

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ビットコインの分裂が11月に再度起こるのでは無いかと言われており、議論は今も行われています。そこで中心になるのが「Segwit2x」という仕様にビットコインをするという議論です。このSegwit2xを採択した「ニューヨーク合意(協定/NYA)」とは何か、初心者の方にも分かりやすく解説をしていきます。

 

 

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ニューヨーク合意とは

ニューヨーク合意(ニューヨーク協定/NYA/New York Agreement)とはビットコインに「Segwit2x」という実装を備える事を2017年5月23日にマイナー・事業者などが調印した合意の事を言います。

アメリカのニューヨークで調印が行われた事から「ニューヨーク合意」「ニューヨーク協定」「NewYork Agreement」「NYA」と呼ばれます。

 

ニューヨーク合意ではビットコインを「Segwit2xへアップグレードするサポートを行う」との同意が多くのマイナーや事業者から得られました。

 

具体的には

・Activate Segregated Witness at an 80% threshold, signaling at bit 4

(bit4でのシグナルを80%の参加者が出せばSegwitを実行する)

・Activate a 2 MB hard fork within six months

(6か月以内にブロックサイズを2MBにするハードフォークを行う)

というものでした。

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Segwitとは簡単に言えばビットコインの取引処理能力を向上する為の第一段階の実装のようなもので実装されればビットコイン決済がスムーズになる特徴があります。

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背景

このような合意が取られた背景にはビットコインのブロックサイズ問題を発端とした議論が続いていた事が挙げられます。

ビットコインの「ブロックサイズ問題」とはビットコインの帳簿であるブロックチェーンのブロック一つ一つが1MBという大きさでは世界中の取引に対応しきれない。困る。というものでそれをいかに解決するのか皆で議論をしていました。

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ビットコインは誰か権威者の決定で仕様を変更できるわけではなく、「みんなの合意が取れないと変更できない」というルールで稼働しているのでああでもない、こうでもないと参加者が議論をしていました。

 

Segwitという良い案が出されたのですがマイニングをする人たちは自分に損がありそうな案だった(ASICBOOSTができなくなる)事などもあり賛同を示しませんでした。

 

そこでSegwitを実装したいユーザーや実装したくないマイナーの意見が割れてユーザーは「UASF」という案を出しました。これは半分強制的にSegwitを実装しようとするものでビットコインを一度崩壊させてもいいから実装しようとするものです。

 

これに対しマイナーはSegwitを実装せず「ブロックサイズを拡張して解決する」という「ビッグブロック」案を出しました。このようにして意見は割れていました。

 

しかし、ビットコインコミュニティ内でこのような意見の割れが出てビットコインシステムが弱くなる事を恐れた一部のマイナーや事業者は折衷案を出す事で解決しようとしました。それが「ニューヨーク合意/NYA」です。

 

「Segwit実装するけど、ブロックサイズも拡張する」という先ほど見たSegwit2x案がその折衷案という事です。

 

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NYAの参加者

ニューヨーク合意を先導したのはDigital Currency Group(DCG)という仮想通貨事業者です。DGCは仮想通貨事業者に対し出資などを行っています。日本の取引所bitFlyerにも行っています。(NYAにも日本の事業者で唯一bitFlyer社は合意)

 

このような背景もあり、DGCの呼びかけに多くのマイナーや事業者が賛同する事でニューヨーク合意は調印されました。

 

当初行われた調印では

・22カ国に58社

が参加しました。それらの事業者等はビットコインの大きな影響力を持っていて

・ハッシュ・パワー(マイニングパワー)全体の83.28%

・一か月の取引量 51億ドル

・約2000万BTC分のウォレット保有可能

という発表がされました。

 

結果的に2017年8月の大きな混乱は避けられ、ビッグブロックをとにかく推進する参加者は「ビットコインキャッシュ」という新たな仮想通貨を生み出し、Segwitを推進する参加者はSegwit2x案に同意する参加者と共にビットコインにSegwitを実装する為に動きました。8月24日に無事Segwitは実装されました。

 

問題点

このようなNYAによるSegwit2x案ですが、問題点があります。

まず、ビットコインコア開発者の賛同が取れていないという事です。ビットコインコア開発者はビットコインのルールブックを決めるような存在で事業者ではありません。利益を追求しておらず、ビットコインシステムが正常に稼働する為の開発を行っております。

 

ビットコインコア開発者はSegwit2xのASICBOOST継続等のマイナーに有利な仕様に違和感を示しており、2017年10月6日現在Segwit2xには賛同を示していません。

 

また、ニューヨーク合意はユーザー不在の合意という点も問題があります。もしこのような合意が取れ、それがビットコインの仕様として成り立つのであればビットコインシステムの合意形成は事業者やマイナーの力を持った参加者だけでできてしまう事になります。

 

もちろんSegwit2xが実装されたビットコインを利用するかどうかはユーザー次第で、利用しなければいい(ビットコインコア開発者の進めるビットコインを利用・マイニングする)という事が言えますがそのような事をすれば一時的なビットコインの弱体化は避けられません。長期的には最もユーザーの支持を集めるビットコインが生き残っていく事になりますがビットコインの成長の足踏みにはなります。

 

Segwit2xは技術的な問題もあります。リプレイアタックという仮想通貨に対する攻撃にどのように対処するのか、という問題です。一定の解決案も提示されていますが根本的な解決にはなっていないとされ、どのような展開になるかは不透明です。

 

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まとめ

このような背景や問題点がニューヨーク合意にはあります。これはビットコインのトップのいない組織がもたらす合意形成の問題でビットコインが今後どうなっていくのかを考える参考になります。

トップがいないからこそユーザーの最良の選択が取れる反面、利益を重視する参加者に振り回される可能性がある事も示唆します。

 

「世界で最も大きなトップ不在の組織」と言われるビットコインの行く末はビットコイン投資だけではなく組織の在り方を示してくれているように思えます。

 

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